ストレッチの効果について

ストレッチの効果について

この記事ではストレッチの効果について解説します。

1.ストレッチの効果とは

ストレッチは健康によいことがわかっています。では具体的にどのような効果があるのでしょうか。厚生労働省のホームページを参考にお伝えします。

1−1.カラダの柔軟性を高める

柔軟性とは「関節可動域の広狭」ととらえていいでしょう。「関節が大きく動く」「関節の可動性が向上する」ということになります。

カラダが柔らかい=筋肉が柔らかくなるということも間違いではありません。実際に筋や筋と関節をつなぐ腱の弾性要素が変化を起こし柔らかく、伸びやすくなるということも起こるからです。

ストレッチを続けていると、筋の伸張反射の感受性が低下します。これは引っ張られることに抵抗しようとする性質が穏やかになるということです。このことでさらに関節の可動域が広がるのです。

1−2.姿勢やフォームの保持、肩こりの解消

筋肉を偏った使い方ばかりしていて、拘縮を起こすと、不良姿勢の傾向が強まります。例えば猫背や頭部前方偏位(ストレートネック)と呼ばれるものがありますが、対策を行わないとこの度合いがどんどん進んでいくのです。

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ストレートネックの場合、頭の重さを首や肩、背中が支えようとして負担がかかります

ストレッチでこの拘縮した筋肉を伸ばすことで本来の姿勢や運動中のフォームを適正なものにすることができ、日頃の肩こりの予防解消にもなるのです。

1−3.筋温や体温を高める

筋肉を伸ばすことで、血管も伸張され血液が末端まで通うようになります。血液は温められていますから、これが筋肉の隅々まで通うことで筋肉も温まるのです。カラダの中心と末端との温度差が少なくなることで、全体の体温もやや上昇するのです。

1−4.ケガの防止、スポーツパフォーマンスの向上

実はこれらについては明確なエビデンスがまだ見つかっていません。ここまで述べて来た要素で、関節可動域を向上させ、筋温と体温を高めることでケガを防止し、筋力を発揮しやすくなることが考えられるというものです。

特に日頃運動習慣がない人や、しばらくその運動を行なっていなかった人が急に筋肉に負荷をかけると故障が発生しやすくなることは想像に難くありません。準備運動やウォーミングアップの一環としてストレッチを行うことが勧められるのです。

1−5.リラクゼーション効果

特に静的ストレッチ(スタティックストレッチ)を行う場合は、呼吸を止めずに深くします。また、痛みを感じない程度に筋肉を伸ばすことで、心地よさを感じます。このことにより副交感神経が優位になりリラックスした気分を得られることになります。

2.疑わしい、またはエビデンスがない効果

ストレッチが何にでも効果があるように書かれている場合があります。全国展開しているストレッチサロンのチェーンでもそのような記述がありました。この章ではそれらについての考察をお伝えします。

2−1.ダイエット効果

体重を落とすことがダイエットと定義するのであれば、体重を落とすためには「吸収するカロリーよりも消費するカロリーを増大させる」ことがまず第一の原則です。

ストレッチ(特に静的)自体には、大きくカロリーを消費するような運動強度はなく、これ自体で痩せるくらいの時間を行うことは難しいでしょう。

厚生労働省は運動強度の目安をメッツという単位で数値化してわかりやすくしています。

■「3メッツ」以上の運動(身体活動量の目標の計算に含むもの)

メッツ 活動内容 1エクササイズに
相当する時間
3.0 自転車エルゴメーター:50ワット、とても軽い運動、ウェイトトレーニング(軽・中等度)、ボーリング、フリスビー、バレーボール 20分
3.5 体操(家で。軽・中等度)、ゴルフ(カートを使って。待ち時間を除く。注2参照) 18分
3.8 やや速歩(平地、やや早めに=94m/分) 16分
4.0 速歩(平地、95~100m/分程度)、水中運動、水中で柔軟体操、卓球、太極拳、アクアビクス、水中体操 15分
4.5 バドミントン、ゴルフ(クラブを自分で運ぶ。待ち時間を除く。) 13分
4.8 バレエ、モダン、ツイスト、ジャズ、タップ 13分
5.0 ソフトボールまたは野球、子どもの遊び(石けり、ドッジボール、遊技具、ビー玉遊びなど)、かなり速歩(平地、速く=107m/分) 12分
5.5 自転車エルゴメーター:100ワット、軽い活動 11分
6.0 ウェイトトレーニング(高強度、パワーリフティング、ボディビル)、美容体操、ジャズダンス、ジョギングと歩行の組み合わせ(ジョギングは10分以下)、バスケットボール、スイミング、ゆっくりしたストローク 10分
6.5 エアロビクス 9分
7.0 ジョギング、サッカー、テニス、水泳:背泳、スケート、スキー 9分
7.5 山を登る:約1~2kgの荷物を背負って 8分
8.0 サイクリング(約20km/時)、ランニング:134m/分、水泳:クロール、ゆっくり(約45m/分)、軽度~中強度 8分
10.0 ランニング:161m/分、柔道、柔術、空手、キックボクシング、テコンドー、ラグビー、水泳:平泳ぎ 6分
11.0 水泳:バタフライ、水泳:クロール、速い(約70m/分)、活発な活動 5分
15.0 ランニング:階段を上がる 4分
注1)同一活動に複数の値が存在する場合は、競技ではなく余暇活動時の値とするなど、頻度が多いと考えられる値を掲載してある。
注2)それぞれの値は、当該活動中の値であり、休憩中などは含まない。例えば、カートを使ったゴルフの場合、4時間のうち2時間が待ち時間とすると、3.5メッツ×2時間=7メッツ・時となる。

静的ストレッチは2程度と想定されます。単純に歩くよりも2倍の時間をかけなければ同等の強度にならないのです。痩せる目的であれば他の運動を組み合わせる方が効果的でしょう。

ちなみに消費エネルギーは以下の数式で求められます。

消費エネルギー(kcal) = 【 】メッツ × 実施時間(時間) × 体重(Kg) × 1.05

体重60kgの方が静的ストレッチを1時間行なっても126Kcalくらいしか消費されないのです。

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ストレッチ(特に静的)には、カロリーを大きく消費するような強度はありません

2−2.生活習慣病予防効果

生活習慣病やメタボリックシンドロームの予防についてもはっきりとしたエビデンスはありません。しかし、習慣的にヨガを行うことで血圧が低下したり、座位体前屈の数値で柔軟性が高い人が動脈硬化度が低いという論文があります。ストレッチを行うことだけで生活習慣病予防になるとは言えませんが、ストレッチやその他の運動を生活に取り入れておくことで、予防には繋がるということはいえそうです。

2−3.筋肉痛軽減効果

ストレッチに限らず、筋肉痛を予防する方法はこれまでのところ明確になっていません。これは研究における「同様の環境を作ること」が難しく、その他の要素も加わってくるからと考えられます。

やらないよりはやった方がいい、と考えられる方は多く、効果を感じる方もいますので、否定するものではありません。

2−4.腰痛軽減効果

腰痛には多くの原因があります。どういった腰痛にどのようなストレッチが効果的か、ということがなかなか述べられていません。

一つ言えることは弱化した体幹の筋肉が、腰骨の負担を減らすことができなくなり、腰を痛めやすくなるということがあります。この場合はストレッチよりも体幹の筋肉を活性化したり鍛えるようなトレーニングを行う方が良いでしょう。

2−5.老化予防効果

習慣的にストレッチを行なっていた人とそうでない人を比較したエビデンスはありません。また何をもって老化とするのか定義が曖昧です。

3.ストレッチ効果の研究発表

米国で2013年に発表された研究では「長期的なストレッチはストレッチショートニングサイクルを向上させるのに役立つ」としています。(Effects of stretching on performances involving stretch-shortening cycles.

米国で2010年に発表された約3,000人を対象にした研究では、「ランニングの前にストレッチを行なっても行わなくても、ケガの予防や発生に有意差はなかった」としています。(USATF Announces Results of Pre-run Stretch Study

日本で発表された論文「ストレッチングの生理学・大脳皮質・自律神経系活動および全身循環への影響.」では、30分程度にわたり全身の筋を順番に伸ばしていくようなストレッチングの前後で脳波や自律神経活動を調べてみると、前頭葉でのアルファ(α)波を増加させ、心拍変動を増加させ心拍数を低下させることを報告しています。

4.効果的なストレッチの方法

この章ではオススメのストレッチの方法をご紹介します。

4−1.動的ストレッチの方法

ウォーミングアップや準備体操に効果的な「動的ストレッチ」です。以下の動画は約5分という短い時間で、全身を効果的に伸ばすことができる方法を実践しています。

4−2.静的ストレッチの方法

クールダウンや整理体操に効果的と言われる「静的ストレッチ」です。運動前は禁止といっているサイトや本がありますが、静的ストレッチがウォーミングアップに悪影響を及ぼすことは、否定されてきました。動的ストレッチの前に行なってもかまわないでしょう。以下の動画は6分で行える全身のストレッチです。

5.まとめ

ストレッチの効果について解説しました。何か運動を行なってみたいが、ランニングやサイクリングに抵抗がある方の第一歩としてストレッチはおすすめです。ラジオ体操もしっかり行えば運動強度の高いエクササイズになります。お伝えした情報を参考に少しずつ運動習慣を身につけていただければ幸いです。

参考資料

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-04-006.html